カネモチクラブというものがある。
これは、自分のお金が減っていくのをただ眺めるだけのゲームだ。
もちろん負けたら没収である。
そして今まさに、その負けが目前に迫っていた。
なにせ今日は、このカジノで大勝ちしたのだ。大儲けと言ってもいい。
一〇〇万以上あった手持ちの金は、今は三〇万円ほどしかない。
この三〇万円でも、他の客からすれば十分すぎるほどの額なのだが……それでも俺にとっては痛い出費だった。
俺は手元にある残り少ない現金を見て、思わずため息をつく。
すると――
そんな俺の隣にいた男が、ニヤリと笑いながら声をかけてきた。
それは、俺と同年代の男。スーツ姿だが、まだ若い印象を受ける。
どうやらコイツもカジノに来ていたらしい。そして俺と同じく、かなり勝ってるようだった。
彼は言う。
俺に向かって……
――お前、運が良いんだろ? なら少しくらい分けてくれないか? そう言って、金を無心してきたのだ。
まあ要するにカツアゲだ。別に珍しい話でもない。
俺もこういう手合いには慣れているし、いつもなら無視していただろう。
しかし、今の俺は機嫌が悪い。
というのも、つい先程までギャンブルをしていたのだが…… そこで俺は、有り金をすべてすってしまったからだ。
その結果として、手元に残っている金はわずか三〇万円だけ。
これが今日の全財産であり、これをすべて失ったら俺はもう終わりだ。
だから俺は、目の前の男に対して言った。
――断る。お前みたいなヤツにくれてやる金はない! そう言い捨てると、男は一瞬呆気に取られたような顔をして……それからすぐに怒り出した。
――ふざけんなよ! 誰がテメエなんかに頼むかっての!! そんなことを言ってくる。
だが、こんなことは日常茶飯事だ。
ここで揉めても仕方がない。
俺は男を無視して、その場を離れようとした。
すると――
突然、横から別の人間が現れて、男の肩を掴んだ。
それは、二十歳前後の女だった。
彼女は言う。
――ねえ、あなた……私と一緒に遊びましょう? そう言って、微笑みかけてくる。
男は驚いた顔になり、それから気まずそうな表情を浮かべた。
おそらく彼女の美しさに見惚れてしまったのだろう。
だが、それも無理もないことだ。
俺だって最初に見た時は見入ってしまったし、今も目が離せないでいる。
それほどまでに美しい女性なのだ。
その女性は、まるで人形のように整った容姿をしている。
年齢は俺と同じくらいだろうか。綺麗な黒髪は長く腰近くまで伸びており、肌は白く透き通っているように思える。
また瞳は大きくパッチリとしており、鼻筋はスッと通っていた。唇は小さくピンク色をしており、口元は緩く弧を描いている。
つまり美人だ。
とても可愛らしく、それでいて妖艶な雰囲気がある。
さらに…
(続く)